新神戸は竹中大工道具館で、現在「鉋台をつくるー東京における台屋の成立と発展」と題する展覧会が5月19日まで開催されています。私も少し協力しているのでお知らせします。
言うまでもなく鉋は木工作業の大切な、そして重要な道具です。削る作業は木工作の基本として、大工だろうと木工家だろうと木の工作に携わる人々にとって重要な工程だからです。しかしながら、今まで鉋と言えば、その刃を打った鍛冶の名は私たちの関心を集め、昔から名人が語り継がれてきた一方で、台が注目されることがありませんでした。いくら良い刃物でも台が無ければ文字通り台無しで、役にはたたないはずなのにです。
今回はその「台を打つ=作る」人々に焦点を当てたユニークな展覧会です。過去、東京では人口が集中し鉋の需要も多いことにより、分業が進み、鉋台を打つ専門職が発達しましたが、外注は六分や八分の大型の平鉋などに限られ、私たち指物職が用いる小鉋や豆鉋、特殊な面鉋などの台は自ら作ることがほとんどでした。その後は、東京においても鉋を使う職人が急激に減少しその分業が成り立たなくなってきました。これからはまた鉋台は自作による時代になるのかもしれません。
そんな時代の変わり目にあって普通の平鉋や特殊鉋の台入れに優れた職人の世界の紹介です。木工家はいなくはならないでしょうが、台屋は確実になくなる気配です。今、しっかり記憶と記録にとどめるためにもぜひご覧ください。
私も過去、台屋さんに入れていただいた鉋や自作の小鉋類を何点か出陳しています。また図録に鉋台にまつわる文を書かせていただきました。合わせてご一読下さい。
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竹中大工道具館 | 鉋台をつくる―東京における台屋の成立と発展 (dougukan.jp)
会 期 2024年3月2日(土)~5月19日(日)
開催時間 9:30〜16:30(入館は16:00まで)
休 館 日 月曜日(祝日の場合は翌日)
主 催 竹中大工道具館
監 修 土田昇(土田刃物店店主)
協 力 小吉屋渡辺木工所、横堀樫材店
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