9月23日から10月15日まで、「木工藝・漆工芸・陶芸・硝子―はこ展 Ⅵ」と題した展覧会が、横浜にある「山の上ギャラリー」*にて開催されます。本ギャラリーはおいしい蕎麦で有名な「九つ井」に併設されたギャラリーで、いつもユニークな切り口で工芸の展覧会を開いています。
この箱展も何回か企画されていますが、私は今回初めて出品します。以前、友人の展覧会のために訪れましたが、都会のビルの中のギャラリーとは一味違う落ち着いた雰囲気がとてもすてきでした。何か機会があれば作品を展示してみたいと思っていましたが、このたびキュレーターからのご依頼を頂き小品ですが出品した次第です。
出品作は葉書ほどの大きさの楓(シカモアメープル)の小箱で、真っ直ぐに入った縮杢がことのほか美しい材を使いました。この材が好きで今まで多く使ってきましたが、ここまで揃った材は初めてでした。台部分は同じく楓ですが、こちらはカナダ産のバーズアイメープルです。稜線には朱色が印象的な梨材を使い、小さな蝶貝が象嵌されています。内部には桐の薄板で作った「落とし」が入り、金砂子を蒔いており、蓋を開けると華やかな景色が現れます。小さい作品だからこそ細部や全体の手触りが大切で、注意を払ったつもりです。
私も箱好きでは人後の落ちないつもりですが、皆さん工藝家はお好きと見えて多彩な箱が出品され楽しみです。ぜひお蕎麦をお召し上がりがてら、ご高覧ください。
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