昨日8月27日、久しぶりに東京国立近代美術館工芸館を訪ねました。ちょうどお昼時でしたので弁当を持参し北の丸公園の池のほとりのベンチでいただきました。さほど暑くもなく、蝉時雨が気持ちのいいひと時でした。雀が目の前のテーブルにやってきましたが、お弁当目当てでしょうか。
工芸館では現在「調度❤ハッピーのかたち」と題した所蔵作品展が開かれています*1。これほど多様な工芸作品が一堂に出陳されるのは珍しく、題名のとおり観ていて楽しくなります。*2
その第1室「わたしのハッピー」と題した部屋に、私の作品「胡桃寄木造印笥『紫微垣』」(くるみよせぎづくりいんげ「しびえん」)が出陳されています。
この作品を作ってからもう28年も経ったことに驚くと同時に、一方で制作時のことは昨日のことのように覚えています。胡桃といっても「クラロ・ウォールナット」と呼ばれる特殊な、米国産の胡桃です。直径1メートル近い大材の根張りの部分を対角線を描くように4枚寄木にして各面を構成しています。北極星を中心とした星々の総称である「紫微垣」にふさわしい少し紫がかった褐色をしています。展示では慳貪の戸が閉まったままで内部が見えないのが残念ですが、4段の抽斗が収まっています。
詳しくは拙著「木工藝―清雅を標に-」のp.34-.35をご覧ください。題名とそれが想像させる世界と作品の雰囲気が良くあっているように思え、自分でも好きな作品の一つです。
会期は9月3日までとなりますが、工芸館へも機会があればぜひご覧ください。
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*1 東京近代美術館工芸館「調度❤ハッピーのかたち」(http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/choudo_2017/)
*2 出陳リスト(http://www.momat.go.jp/cg/wp-content/uploads/sites/4/2017/07/choudo_list_0718_3.pdf)
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古谷禎朗 (金曜日, 06 10月 2017 07:39)
美し過ぎて溜息が出ます。展覧会で中のバールや螺鈿象嵌が観れないのが勿体無いですね。クラロを使い始め、この木の素晴らしさと難しさがわかりました。